青森県は「祭りの県」と呼ばれるほど、個性豊かな祭りが一年を通じて開催されています。世界的に有名な青森ねぶた祭りをはじめ、弘前ねぷたまつり、五所川原立佞武多、八戸三社大祭など、各地域で独自の発展を遂げた伝統行事が今も人々の心を惹きつけています。本ガイドでは、青森県の主要な祭りについて、その歴史的背景から現代的な意義、そして訪れる際の見どころまで詳しく解説します。最新の情報は各祭りの公式サイト等でご確認ください。
春の祭り – 冬の終わりと新たな始まりを告げる祝祭
弘前さくらまつり
開催期間: 例年4月下旬〜5月上旬
場所: 弘前公園(弘前市下白銀町)
アクセス: JR弘前駅からバス(土手町循環100円バスなど)で約15分「市役所前」下車徒歩約5分
起源と歴史:
1918年(大正7年)の観桜会が始まりとされ、100年以上の歴史を持つ日本を代表する桜の祭典です。弘前城を取り囲む約50種2,600本の桜が咲き誇る様子は圧巻で、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。

見どころ:
- 満開の桜と弘前城のコントラスト: 特に西濠の「桜のトンネル」は必見
- 夜桜と桜のライトアップ: 幻想的な雰囲気が楽しめる
- 花筏(はないかだ): 散った桜の花びらが濠の水面を埋め尽くす光景
- 出店やイベント: 津軽の郷土料理や工芸品の販売、様々な催し物
マニア向けポイント:
弘前公園内の桜は、樹齢100年を超える古木が多く、「弘前方式」と呼ばれる独自の剪定技術によって樹勢が維持され、見事な花を咲かせます。「ソメイヨシノ100年寿命説」を覆す存在としても知られています(ただし、ソメイヨシノ自体は江戸末期に江戸の染井村(現在の東京都豊島区)で生まれたのが定説です)。
恐山開山祭
開催日: 例年5月1日
場所: 恐山菩提寺(むつ市田名部字宇曽利山)
アクセス: JR下北駅から下北交通バス(恐山線)で約40分「恐山」下車
起源と歴史:
日本三大霊場の一つとして知られる恐山の年間行事の始まりを告げる儀式です。厳しい冬の間は雪に閉ざされて閉山していた恐山が、この日から秋の閉山まで一般参拝者に開放されます。

見どころ:
- 開山法要: 恐山菩提寺本堂での荘厳な儀式
- 山伏の奉納行事: 修験道の伝統を受け継ぐ儀式が行われることも
- 地獄めぐり: 噴気や温泉が立ち上る特異な地形の見学
- イタコの口寄せ: 夏や秋の大祭時にはイタコによる口寄せが有名ですが、開山祭の時期には常駐していないため、行われるとしても非常に稀です。
マニア向けポイント:
開山祭は夏の例大祭ほどの混雑がなく、静かな雰囲気の中で恐山の霊性を感じられる貴重な機会です。この時期はまだ残雪があることもあり、荒涼とした風景がより神秘的な雰囲気を醸し出します。
八甲田「雪の回廊と温泉」ウォーク
開催期間: 例年3月下旬〜4月1日の開通日前後2日間(要確認)
場所: 八甲田・十和田ゴールドライン(国道103号)
アクセス: JR青森駅から臨時バスが運行される場合あり(要確認)
起源と歴史:
冬季閉鎖されていた八甲田・十和田ゴールドラインが春に開通する時期に合わせて、1987年(昭和62年)頃から始まったとされるイベントです。「雪の回廊」と呼ばれる、除雪によってできた高さ数メートル(時に10m近く)にもなる雪壁の間を歩くことができます。

見どころ:
- 雪の回廊ウォーク: 一般車両開通前に、車道を歩ける特別な体験
- 雄大な雪景色: 青空と白い雪壁のコントラストが美しい
- 周辺の温泉: ウォーク後に酸ヶ湯温泉など八甲田の名湯を楽しむ
- 地元グルメ: 会場周辺で温かい食べ物などが販売されることも
マニア向けポイント:
冬から春への劇的な季節の変わり目を体感できるイベントです。一般車両が通行する前の特別な時間に、高くそびえる雪の壁の間を歩けるのが最大の魅力です。(※樹氷の見頃は1月~2月のため、この時期に見るのは困難です)
夏の祭り – 熱狂と伝統が彩る季節
青森ねぶた祭り
開催期間: 例年8月2日〜7日
場所: 青森市中心部
アクセス: JR青森駅から徒歩圏内
起源と歴史:
起源は諸説ありますが、七夕祭りの灯籠流しが発展したものという説が有力です。武者絵などを題材にした巨大な灯籠(ねぶた)と、「ラッセラー」の掛け声とともに跳ね踊る「ハネト」が街を練り歩く、日本を代表する夏祭りです。国の重要無形民俗文化財に指定されています。

見どころ:
- 大型ねぶた: 高さ約5m、幅約9mにもなる迫力満点の灯籠
- ハネト: 祭りを盛り上げるエネルギッシュな踊り手(衣装レンタルで参加可能)
- 囃子方: 笛、太鼓、手振り鉦による独特の囃子
- 海上運行と花火大会: 最終日の夜、受賞ねぶたなどが海上を運行し、花火が彩る
マニア向けポイント:
7月下旬頃からは、ねぶたを制作している小屋「ねぶたラッセランド」(青い海公園内)で見学が可能です。制作者(ねぶた師)の技術を間近で見ることができます。また、「ねぶたの家 ワ・ラッセ」では一年中ねぶたの実物展示や歴史紹介に触れられます。
弘前ねぷたまつり
開催期間: 例年8月1日〜7日
場所: 弘前市中心部(土手町コース・駅前コースなど)
アクセス: JR弘前駅から徒歩圏内
起源と歴史:
青森ねぶた祭りと同様の起源を持つとされますが、弘前では「ねぷた」と呼ばれ、形状も異なります。江戸時代から続く伝統があり、特に三国志や水滸伝などを題材にした勇壮な武者絵が描かれた扇型の大型ねぷたが特徴的です。国の重要無形民俗文化財に指定されています。

見どころ:
- 扇ねぷた: 大小様々な大きさの扇型の灯籠
- 組ねぷた: 人形型の立体的な灯籠
- ヤーヤドーの掛け声と囃子: 勇壮な掛け声と笛、太鼓の囃子が練り歩きを盛り上げる
- なぬかびおくり: 最終日に行われる合同運行と、岩木川でのねぷた燃やし(近年は形式変更の場合あり)
マニア向けポイント:
弘前のねぷたは、表に見送り絵(武者絵など)、裏に鏡絵(美人画など)を描くという独特の様式があります。青森の「ねぶた」が主に正面から鑑賞されるのに対し、弘前の「ねぷた」は回転しながら進むため、側面や背面の絵柄も楽しめます。両方の祭りを訪れて比較するのも面白いでしょう。
五所川原立佞武多(たちねぷた)
開催期間: 例年8月4日〜8日
場所: 五所川原市中心部
アクセス: JR五所川原駅から徒歩圏内
起源と歴史:
明治時代に巨大化したとされ、高さが最大で23メートルにも達する縦長の「立佞武多」が特徴です。一時は電線などに阻まれ途絶えていましたが、設計図の発見などを機に1998年に約80年ぶりに復活し、現在は青森県を代表する夏祭りの一つとなっています。

見どころ:
- 巨大な立佞武多: ビル7階建てに相当する高さの山車が練り歩く姿は圧巻
- 夜間運行: ライトアップされた立佞武多の幻想的で迫力ある姿
- ヤッテマレの掛け声と囃子: 独特のリズムと掛け声が祭りを盛り上げる
- 子供ねぷた: 期間中は子供たちが制作したねぷたも運行される
マニア向けポイント:
「立佞武多の館」では、祭りで実際に運行される大型立佞武多3台が常設展示されており、その大きさと精巧さを間近で見ることができます。祭りの歴史や制作過程についても学ぶことができます。各団体によって山車のテーマや製作技術が異なるので、比較して見るのも興味深いでしょう。
八戸三社大祭
開催期間: 例年7月31日〜8月4日
場所: 八戸市中心部、おがみ神社・長者山新羅神社・神明宮
アクセス: JR本八戸駅から徒歩圏内、または市営バスなどで中心街へ
起源と歴史:
約300年の歴史を持つ、八戸藩最大の祭りです。おがみ神社・長者山新羅神社・神明宮の三神社の合同例祭として、豪華絢爛な山車が市内を練り歩きます。国の重要無形民俗文化財であり、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の構成資産の一つです。

見どころ:
- 豪華絢爛な山車: 神話や歌舞伎などを題材にした、仕掛けのあるきらびやかな人形山車(最大27台)
- お通り・おかえり: 全ての山車や神輿行列が一堂に会して練り歩く様は圧巻
- 伝統芸能: 子供たちによる可愛らしい虎舞や荘厳な神楽などの披露
- 神輿渡御(みこしとぎょ): 三神社の神様を乗せた神輿の厳かな行列
- 加賀美流騎馬打毬: 長者山新羅神社で行われる古式ゆかしい馬術奉納(中日)
マニア向けポイント:
山車は各町内会が競い合って制作し、毎年新しいテーマで作られます。制作期間は約半年にも及び、その精巧な作りと美術的価値は高く評価されています。期間中、八戸市博物館では関連展示が行われることもあり、祭りの歴史的背景を学ぶことができます。
黒石よされ
開催期間: 例年8月中旬(8月15日・16日など、要確認)
場所: 黒石市中心街
アクセス: 弘南鉄道黒石駅から徒歩、またはJR弘前駅から弘南バスで約30分「黒石」下車
起源と歴史:
江戸時代から続く津軽地方の三大流し踊りの一つ「黒石よされ」を中心とした祭りです。「エッチャホー、エッチャホー」の掛け声とともに、編み笠に黒い着物の踊り手たちが情緒豊かに踊ります。もともとは盆踊りや豊作祈願の踊りが発展したものと言われています。

見どころ:
- 流し踊り: 数千人の踊り手が通りを埋め尽くして踊る壮観な光景
- 輪踊り(廻り踊り): 観客も自由に参加できる円になって踊る形式
- 競演会: 各団体による踊りの技を披露する舞台
- 津軽三味線の生演奏: 情緒ある踊りを引き立てる
マニア向けポイント:
「黒石よされ」にはいくつかの流派があり、地域や団体によって微妙に節回しや振り付けが異なります。流し踊りの優雅さ、輪踊りの熱気、両方を体験するのがおすすめです。地元の人に教わりながら輪踊りに参加すると、より深く文化を体験できます。
恐山大祭(夏)
開催期間: 例年7月20日〜24日
場所: 恐山菩提寺(むつ市田名部字宇曽利山)
アクセス: JR下北駅から下北交通バス(恐山線)で約40分「恐山」下車
起源と歴史:
恐山信仰における最大の行事で、この期間中は多くの参拝者が全国から訪れます。特に「イタコ」と呼ばれる巫女による口寄せが有名で、亡くなった人の魂の声を聴こうとする人々で賑わいます。

見どころ:
- イタコの口寄せ: 死者の声を伝えるとされる伝統的な儀式(人数限定の場合あり)
- 大祭法要: 恐山菩提寺本堂や地蔵殿での荘厳な仏教儀式
- 地獄めぐり・極楽浜: 硫黄の香りが漂う荒涼とした地形と、対照的に美しい宇曽利湖畔
- 精霊供養: 各地から持ち寄られた供物や風車が独特の雰囲気を醸し出す
マニア向けポイント:
イタコの数は年々減少しており、その伝統文化は貴重なものとなっています。口寄せを希望する場合は、早朝からの整理券配布や長時間の待ち時間があることを覚悟し、故人の情報(名前、続柄、命日など)を準備しておくと良いでしょう。
お山参詣(岩木山神社)
開催期間: 旧暦8月1日を中心とする数日間(登山囃子の練習は旧暦7月末から)。新暦では毎年変動しますが、例年9月上旬頃にあたることが多いです。
場所: 岩木山神社および岩木山一帯(弘前市百沢)
アクセス: JR弘前駅から弘南バス(枯木平線)で約40分「岩木山神社前」下車
起源と歴史:
津軽地方の農民が五穀豊穣や家内安全を岩木山の神に祈願するため、江戸時代中期(約350~400年前)に始まったとされる集団登拝行事です。「さいぎ、さいぎ」という独特の掛け声とともに、白装束の人々が色鮮やかな幟(のぼり)を掲げて山頂を目指します。国の重要無形民俗文化財に指定されています。

見どころ:
- 幟の行列: 笛や太鼓の登山囃子に合わせて、色とりどりの幟が進む厳かで華やかな行列
- 白装束の参拝者: 伝統的な装束を身にまとった人々の姿
- 深夜登山と御来光: 旧暦8月1日の未明に山頂を目指し、山頂で御来光を拝む
- 岩木山神社での神事: 麓の岩木山神社で行われる様々な神事
マニア向けポイント:
お山参詣は単なる登山ではなく、地域の人々にとって重要な信仰に基づく行事です。本来は精進潔斎をして臨むものですが、現在は一般参加も可能です(要事前確認)。特に深夜の登山は幻想的ですが、装備と体力が必要です。麓の岩木山神社周辺で登山囃子の練習風景が見られることもあります。
秋の祭り – 実りの季節を彩る行事
恐山大祭(秋)
開催期間: 例年10月の体育の日(スポーツの日)を最終日とする3連休
場所: 恐山菩提寺(むつ市田名部字宇曽利山)
アクセス: JR下北駅から下北交通バス(恐山線)で約40分「恐山」下車
起源と歴史:
夏の例大祭と並ぶ恐山の重要な行事です。この祭りの後、恐山は冬期閉山(例年11月~4月)に入るため、年内の大きな祭事としては最後となります。

見どころ:
- 秋季例大祭法要: 恐山菩提寺での荘厳な儀式
- イタコの口寄せ: 夏の大祭ほど多くはありませんが、口寄せが行われることもあります
- 紅葉: 秋の恐山を彩る紅葉と、荒涼とした風景のコントラスト
- 閉山前の雰囲気: 冬を前に、静かに祈りを捧げる参拝者の姿
マニア向けポイント:
秋の恐山は、紅葉と霧が混ざり合い、夏とはまた違った神秘的な雰囲気を醸し出します。夏の例大祭ほどの混雑はなく、より静かに恐山の独特な空気感や霊性に触れることができるでしょう。
弘前城菊と紅葉まつり
開催期間: 例年10月下旬〜11月上旬
場所: 弘前公園(弘前市下白銀町)
アクセス: JR弘前駅からバス(土手町循環100円バスなど)で約15分「市役所前」下車徒歩約5分
起源と歴史:
1962年(昭和37年)に始まった、弘前公園の秋を彩る祭典です。丹精込めて育てられた菊の展示と、紅葉に染まる弘前城の景観が楽しめます。春のさくらまつりとともに弘前の四季を代表するイベントです。

見どころ:
- 菊人形: その年のテーマに沿って、歴史上の人物や物語の一場面を菊で表現
- 大菊・懸崖などの展示: 見事な菊の品評会や、伝統技術による菊の仕立て
- 紅葉ライトアップ: 夜間の弘前城と紅葉が織りなす幻想的な景観
- 植物園の紅葉: 公園内の植物園も見事な紅葉スポット
マニア向けポイント:
弘前は菊栽培が盛んな地域で、特に「懸崖(けんがい)作り」と呼ばれる、崖から垂れ下がるように仕立てる技法は見事です。また、弘前城の石垣修理工事に伴い、普段は見られない角度からの景観を楽しめる期間もあります(要確認)。
大間超マグロ祭り
開催期間: 例年10月下旬の土日(要確認)
場所: 大間港特設会場(大間町)
アクセス: JR下北駅から下北交通バス(佐井線)で約1時間30分「大間」下車徒歩約5分
起源と歴史:
「大間のマグロ」ブランドで知られる本マグロの町・大間町で、マグロ漁のシーズンの到来を祝い、海の恵みに感謝する比較的新しい祭りです(2000年頃に「マグロ感謝祭」として始まったとされる)。大間のマグロ漁は100年以上の歴史があり、伝統の一本釣りが今も受け継がれています。

見どころ:
- マグロ解体ショー: 巨大な本マグロが目の前で捌かれる迫力満点のショー
- マグロの即売: 新鮮な大間のマグロを格安で購入できるチャンス
- マグロ料理の屋台: 刺身、寿司、丼、汁物など様々なマグロ料理を堪能
- マグロ重量当てクイズなど: 参加型のイベントも楽しめる
マニア向けポイント:
大間のマグロ漁師は、伝統的な「一本釣り」漁法にこだわりを持っています。祭り会場では、漁師さんたちとの交流の機会があるかもしれません。また、普段なかなか口にできない希少部位が販売されたり、地元ならではの食べ方が紹介されたりすることもあります。
冬の祭り – 厳しい寒さを彩る光と祈り
八戸えんぶり
開催期間: 例年2月17日〜20日
場所: 八戸市中心街、長者山新羅神社、市庁前広場など
アクセス: JR本八戸駅から徒歩圏内、または市営バスなどで中心街へ
起源と歴史:
約800年前の鎌倉時代に始まったとされる、八戸地方を代表する民俗芸能です。その年の豊作を祈願する「春を呼ぶ」祭りであり、農具の「朳(えぶり)」を模したとされる華やかな烏帽子を被った太夫(たゆう)が、馬の頭をかたどった舞具を手に、独特の摺り(すり)の舞を披露します。国の重要無形民俗文化財に指定されています。

見どころ:
- 太夫の摺り(すり): 種まきや田植えなどの稲作の動作を表現した荘重な舞
- 祝福芸(子供たちの舞): えんぶりの合間に披露される、恵比寿舞や大黒舞など可愛らしい舞
- 華やかな烏帽子(えぼし): 色鮮やかな装飾が施された、太夫の象徴的な被り物
- 一斉摺り: 市庁前広場などで、多数のえんぶり組が一斉に舞を披露する壮観な光景
マニア向けポイント:
えんぶりには、ゆったりとしたテンポの「ながえんぶり」と、やや速いテンポの「どうさいえんぶり」の二つの流派があります。また、各地区の「組」によって衣装や舞の細部、演目などが異なるため、複数の組の演技を見比べるのも一興です。「お庭えんぶり」では、旧家の座敷などで間近に鑑賞できる機会もあります(要予約の場合あり)。
弘前城雪燈籠まつり
開催期間: 例年2月上旬〜中旬の4日間程度(例:第2木曜~日曜など、要確認)
場所: 弘前公園(弘前市下白銀町)
アクセス: JR弘前駅からバス(土手町循環100円バスなど)で約15分「市役所前」下車徒歩約5分
起源と歴史:
1977年(昭和52年)に始まった、みちのく五大雪まつりの一つです。厳しい冬を過ごす市民が楽しめるように、また観光客をもてなすために始められ、弘前の冬を代表するイベントとして定着しています。

見どころ:
- 大雪像・雪像: 歴史的建造物などを模した大雪像や、市民手作りの雪像
- 雪燈籠: 公園内に約150基ほど設置される、武骨ながら温かみのある手作りの雪燈籠
- ミニかまくら群: 蓮池の周りなどに約300基作られ、ロウソクの灯りが灯る幻想的な光景
- ライトアップとプロジェクションマッピング: 雪化粧した弘前城や雪像が美しく照らされる(年によって内容は異なる)
マニア向けポイント:
期間中は、市民や団体による雪像コンテストも開催され、ユニークな作品が並びます。雪燈籠やミニかまくらは、市民ボランティアの手によって一つひとつ作られており、その温かみが祭りの魅力となっています。防寒対策をしっかりして、雪と光が織りなす幻想的な夜景を楽しみましょう。
青森の祭りカレンダー(月別・主な祭り)
※開催時期は例年の目安です。必ず事前に公式サイト等でご確認ください。
1月〜3月 (冬)
- 八戸えんぶり: 2月17日〜20日
- 弘前城雪燈籠まつり: 2月上旬〜中旬
4月〜6月 (春)
- 八甲田「雪の回廊と温泉」ウォーク: 3月下旬〜4月1日頃
- 弘前さくらまつり: 4月下旬〜5月上旬
- 恐山開山祭: 5月1日
7月〜9月 (夏〜初秋)
- 恐山大祭(夏): 7月20日〜24日
- 八戸三社大祭: 7月31日〜8月4日
- 弘前ねぷたまつり: 8月1日〜7日
- 青森ねぶた祭り: 8月2日〜7日
- 五所川原立佞武多: 8月4日〜8日
- 黒石よされ: 8月中旬
- お山参詣: 9月上旬頃(旧暦8月1日)
10月〜12月 (秋)
- 恐山大祭(秋): 10月 体育の日(スポーツの日)を含む3連休
- 大間超マグロ祭り: 10月下旬
- 弘前城菊と紅葉まつり: 10月下旬〜11月上旬
祭り参加のための心得
服装と持ち物
- 季節と天候に合わせた服装: 特に春・秋の山間部や冬の祭りは十分な防寒対策を。夏でも夜は冷えることも。
- 歩きやすい靴: 長時間の観覧や移動、人混みの中を歩くことを考慮して。
- 雨具: 天候が変わりやすい季節や場所では折りたたみ傘やレインコートがあると安心。
- カメラ・スマートフォンと予備バッテリー: 写真や動画撮影、情報収集に。充電切れに注意。
- 現金: 屋台での買い物や一部施設では、現金のみの場合もあるため用意しておくと便利。
- モバイルバッテリー、ウェットティッシュ、常備薬など: あると便利なもの。
マナーと注意点
- 地域への敬意: 祭りは観光イベントである前に、地域の伝統文化であり、住民の生活の一部であることを忘れずに。
- 撮影マナー: 撮影禁止の場所や、フラッシュ禁止などのルールを守る。特に宗教的な儀式や個人宅付近では配慮が必要。
- 交通規制・混雑: 大きな祭りでは交通規制が敷かれ、大変混雑する。事前に情報を確認し、時間に余裕を持って行動する。
- 宿泊・交通の早期予約: 人気の祭り期間中は宿泊施設や交通機関が満員になることが多い。早めの予約が必須。
- ゴミは持ち帰る: 会場や周辺の美化に協力する。
- 最新情報の確認: 天候や社会状況により、内容が変更または中止になる場合があるため、必ず直前に公式サイト等で確認する。
参加型祭りへの参加方法(例)
- 青森ねぶた祭り(ハネト): 正式なハネト衣装を着用すれば誰でも参加可能。当日レンタルや着付けサービスあり(有料)。
- 弘前ねぷたまつり: 基本的には各運行団体に所属しての参加となるが、団体によっては一般参加を受け入れている場合も。
- 黒石よされ(輪踊り): 事前申し込み不要で、誰でも自由に参加できる。
- お山参詣: 一般参加を受け付けている団体もあるが、多くの場合、事前申し込みや準備が必要(要確認)。
まとめ – 青森の祭りが伝えるもの
青森県の祭りは、単なる観光イベントではなく、長い歴史の中で培われてきた人々の祈りや願い、そして地域のアイデンティティそのものです。春夏秋冬、それぞれの季節に息づく多彩な祭りは、青森の人々の暮らしのリズムを刻んできました。
厳しい自然と共に生きてきた人々は、祭りを通じて季節の恵みに感謝し、豊作や大漁を祈り、祖先を敬い、そして共同体の絆を確かめ合ってきました。現代においても、多くの祭りが地域社会の結束力を高め、かけがえのない伝統文化を次世代に継承する重要な役割を果たしています。
これらの祭りに触れることは、青森の風土と人々の心に触れる旅となるでしょう。勇壮なねぶた・ねぷた、神秘的な恐山の風景、古式ゆかしい豊年祈願の舞など、どの祭りも青森の豊かな精神文化を色濃く映し出しています。
青森県を訪れる際には、ぜひこのガイドを参考に、季節ごとの祭りを体験してみてください。きっと、ガイドブックだけでは知ることのできない、生き生きとした青森の魅力に出会えるはずです。
青森の祭りを訪れるための実用情報
宿泊施設
各祭りが開催される地域の主要都市には様々な宿泊施設があります。祭り期間中は大変混み合い、料金も高くなる傾向があるため、早めの予約が必須です。予約サイトや各施設の公式ウェブサイトでご確認ください。
主なエリアと祭り:
- 青森市エリア (青森ねぶた祭り)
- 弘前エリア (弘前ねぷたまつり、弘前さくらまつり、弘前城菊と紅葉まつり、弘前城雪燈籠まつり、お山参詣)
- 八戸エリア (八戸三社大祭、八戸えんぶり)
- 五所川原エリア (五所川原立佞武多)
- むつ・下北エリア (恐山大祭、大間超マグロ祭り)
- 黒石エリア (黒石よされ)
交通アクセス
青森県内の祭り会場へのアクセス方法の概要です。
県外からのアクセス
- 航空機: 青森空港、三沢空港を利用。空港から各都市へはバス等で移動。
- 新幹線: 東北新幹線で新青森駅または八戸駅まで。そこからJR在来線やバスに乗り換え。
- フェリー: 北海道(函館・室蘭)から青森港・大間港へ。
県内移動
- JR線: 奥羽本線、津軽線、五能線、大湊線、青い森鉄道、八戸線などが主要都市を結ぶ。
- 路線バス: 弘南バス、下北交通、十和田観光電鉄バス、JRバス東北などが各地域を運行。
- レンタカー: 自由な移動に便利だが、祭りの時期は渋滞や交通規制、駐車場の確保に注意が必要。予約は早めに。
- 臨時シャトルバス: 大規模な祭りでは、最寄り駅や駐車場から会場への臨時バスが運行されることが多い。事前に情報を確認。
観光案内所
各地域の観光案内所では、祭りの詳細情報、パンフレット、最新スケジュール、交通案内などを入手できます。主要駅や観光施設内に設置されています。
- 青森市: 青森駅ビル「ラビナ」内、新青森駅など
- 弘前市: JR弘前駅、弘前市立観光館など
- 八戸市: JR八戸駅、ユートリー(八戸地域地場産業振興センター)など
- むつ市: JR下北駅前など
※案内所の場所や営業時間は変更される場合があります。各自治体や観光協会のウェブサイトをご確認ください。
青森県の祭りは、天候や社会情勢によって日程や内容が変更されることもあります。お出かけ前には、必ず各祭りの公式サイトや主催団体の発表する最新情報をご確認ください。素晴らしい祭り体験ができることを願っています。