青森県の秋の絶景といえば、真っ先に思い浮かぶのが奥入瀬渓流の紅葉です。十和田湖から流れ出る清流に沿って約14kmにわたって続く渓流は、日本屈指の紅葉名所として多くの人々を魅了し続けています。燃えるような赤、鮮やかな黄色、深い橙色に染まった木々が織りなす自然のアートは、まさに息を呑む美しさです。
この記事では、奥入瀬渓流の紅葉を心ゆくまで楽しみ、青森の温泉でゆったりと疲れを癒す1泊2日の完璧なモデルコースをご提案します。絶景撮影スポット、おすすめの温泉宿、そして周辺の隠れた観光地まで、秋の青森を満喫するための情報を余すところなくお伝えします。
1日目:奥入瀬渓流の絶景紅葉を満喫
午前10時:奥入瀬渓流館でスタート
紅葉狩りの旅は、「奥入瀬渓流館」から始めましょう。ここは奥入瀬渓流の玄関口として、観光情報の収集や休憩に最適なスポットです。館内では奥入瀬の四季を紹介する映像や展示があり、これから始まる散策への期待を高めてくれます。
施設情報
- 営業時間:9:00-17:30(4月中旬~11月上旬)
- 休館日:冬季休館(11月中旬~4月中旬)※詳細は要確認
- 入館料:無料
- 駐車場:あり(無料)
午前10時30分:石ヶ戸休憩所~銚子大滝
奥入瀬渓流の散策は、石ヶ戸休憩所からスタートするのがおすすめです。ここから銚子大滝までの散策路は、奥入瀬渓流の美しさを凝縮した黄金ルートとも呼べる区間です。
見どころポイント
- 阿修羅の流れ:岩の間を縫うように流れる清流と紅葉のコントラストが絶景
- 九段の滝:階段状に流れ落ちる滝と周囲の紅葉が織りなす絵画のような美しさ
- 白糸の滝:その名の通り白い糸のように繊細に流れ落ちる滝
散策の最終地点である銚子大滝は、高さ7m、幅20mの奥入瀬渓流最大の滝です。轟音とともに流れ落ちる滝と、周囲を彩る紅葉の組み合わせは圧巻の一言。ここでの記念撮影は必須です。
散策情報
- 距離:約8.9km
- 所要時間:約2時間30分~3時間
- 難易度:初心者向け(平坦な遊歩道ですが、距離が長いため歩きやすい靴と、時間に余裕を持った計画が必要です)
※全区間を歩くのが難しい場合は、JRバス「みずうみ号」を利用し、「石ヶ戸」から「阿修羅の流れ」付近まで散策(約30分)し、バスで「銚子大滝」へ移動するなど、体力や時間に合わせて計画を立てるのがおすすめです。
午後1時30分:十和田湖畔(子ノ口・休屋)で昼食
散策終了地点の「銚子大滝」からバスで数分、終点の「十和田湖(子ノ口)」または、そこから遊覧船やバスで移動した「休屋(やすみや)」地区で昼食をとりましょう。休屋地区にはレストランや食堂が多く集まっており、郷土料理やヒメマス料理などを楽しむことができます。
休屋地区のおすすめ飲食店
- 十和田湖名産のヒメマス料理を提供する食堂
- 地元の食材を使った郷土料理レストラン
- 湖を眺めながらくつろげるカフェ
※もし「奥入瀬ビール ブルワリー&レストラン」(所在地:青森県十和田市奥瀬堰道39-1、営業時間:11:00-16:00、定休日:水曜日)に行きたい場合は、散策開始前に奥入瀬渓流館(焼山地区)で早めの昼食をとるプランに変更するのが効率的です。
午後2時30分:十和田湖の絶景を楽しむ
昼食後は十和田湖の絶景を楽しみましょう。カルデラ湖である十和田湖の湖畔の紅葉も見事で、湖面に映る逆さ紅葉は息を呑む美しさです。
十和田湖のハイライト
- 乙女の像:十和田湖のシンボルとして親しまれる高村光太郎作の彫刻
- 御前ヶ浜:湖畔で最も美しい紅葉スポットの一つ
- 遊覧船:湖上から眺める紅葉は陸地とは違った趣があります(料金:大人1,650円、小人820円)
午後5時:十和田湖西湖畔温泉にチェックイン
1日目の宿泊は、十和田湖西湖畔温泉がおすすめです。湖を一望できる温泉宿で、紅葉を眺めながらの入浴は格別の贅沢です。
おすすめ温泉宿
十和田プリンスホテル
- 料金:1名あたり15,000円~(1泊2食付き・目安)
- 特徴:レイクビュー客室、展望露天風呂から十和田湖を一望
- 泉質:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)
- 効能:疲労回復、関節こわばり、慢性消化器病、冷え性
- 所在地:秋田県鹿角郡小坂町十和田湖西湖畔
- 電話:0176-75-3111
とわだこ遊月
- 料金:1名あたり12,000円~(1泊2食付き・目安)
- 特徴:アットホームな雰囲気、地元食材を使った会席料理が自慢、展望露天風呂
- 泉質:ナトリウム-塩化物泉
- 所在地:秋田県鹿角郡小坂町十和田湖休平36-1
- 電話:0176-75-2501
2日目:周辺観光地と温泉巡り
午前9時:蔦沼で鏡のような逆さ紅葉
2日目は早起きして蔦沼へ向かいましょう。十和田湖から車で約30分の場所にある蔦沼は、紅葉の絶景スポットとして全国的に非常に有名な場所です。特に朝の光が湖面に差し込む時間帯は、まるで鏡のような水面に映る逆さ紅葉が幻想的な美しさを見せてくれます。
蔦沼の魅力
- 早朝(6:00-7:00頃)の光景が最も美しい
- 周囲約1kmの散策路でゆっくり回ることができる
【紅葉シーズンの重要注意事項】
蔦沼の紅葉ピーク時、特に早朝は想像を絶する混雑となります。近年は、展望デッキへの**入場制限(事前予約制)**や、**一般車両の交通規制(シャトルバス利用必須)**が導入されています。「静寂の中で紅葉を独り占めできる」場所では全くありませんので、訪問前には必ず「十和田市」や「十和田湖国立公園協会」の公式サイトで、その年の最新の規制情報(予約方法、シャトルバス情報)を必ず確認してください。
午前11時:酸ヶ湯温泉で名湯に浸かる
青森の温泉といえば外せないのが酸ヶ湯温泉です。八甲田山麓にある秘湯で、約300年の歴史を持つ名湯として知られています。
酸ヶ湯温泉の特徴
- ヒバ千人風呂:160畳の大浴場は圧巻のスケール(混浴、女性専用時間8:00-9:00)
- 泉質:酸性硫黄泉(神経痛、リウマチ、皮膚病に効果)
- 日帰り入浴:大人1,000円、小人500円(タオル別途有料)
- 営業時間:ヒバ千人風呂7:00-18:00(受付終了17:30)、玉の湯(男女別)9:00-17:00(受付終了16:30)
- 電話:017-738-6400
【タイムスケジュールの目安】
- 午前11時~午後0時30分:酸ヶ湯温泉で入浴・休憩(約1時間30分)
午後1時15分:黒石温泉郷で昼食と温泉
酸ヶ湯温泉から車で約40~50分、黒石温泉郷で旅の締めくくりを。青森市内への帰路の途中にあるこの温泉郷は、落人温泉として知られる板留温泉や、美肌の湯で有名な温湯温泉など、個性豊かな温泉が点在しています。
おすすめは温湯温泉「鶴の名湯」
- 日帰り入浴:大人300円、小人(4歳~小学生)100円
- 営業時間:5:00-22:00(受付終了21:30)
- 泉質:ナトリウム-塩化物泉・硫酸塩泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
- 効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性など
- 所在地:青森県黒石市温湯鶴泉79
- 電話:0172-54-8591
- 特徴:美肌効果で「美人の湯」として有名
【タイムスケジュールの目安】
- 午後1時15分~午後3時:黒石温泉郷で昼食・「鶴の名湯」入浴(約1時間45分)
午後4時:青森市内でお土産購入
黒石温泉郷から車で約1時間、青森市内に到着。最後は青森駅前の「A-FACTORY」でお土産を購入しましょう。りんご製品や地酒など青森の特産品が豊富に揃っています。
アクセス情報
電車・バス利用の場合
- JR青森駅からJRバス東北「みずうみ号」で約2時間40分~3時間
- 料金:片道3,110円(2025年4月現在・青森駅~十和田湖休屋)
- ※運賃は改定される場合があるため、乗車前にJRバス東北の公式サイトで最新情報をご確認ください
- ※紅葉シーズンは混雑するため、時間に余裕を持った計画を
車利用の場合
- 青森市内から約1時間30分
- 東北自動車道「十和田IC」から約40分~50分(奥入瀬渓流の玄関口・焼山地区まで)
- 駐車場:石ヶ戸、銚子大滝など主要ポイントに完備
紅葉の見頃とベストタイミング
奥入瀬渓流の紅葉は例年10月中旬から下旬が見頃となります。特に10月20日前後が最も美しい時期とされています。ただし、年によって前後するため、事前に青森県の観光情報サイトで最新の紅葉情報をチェックすることをおすすめします。
撮影のコツ
おすすめ撮影スポット
- 阿修羅の流れ:流れる水と紅葉のコントラスト
- 銚子大滝:滝の轟音と鮮やかな紅葉
- 蔦沼:早朝の逆さ紅葉
- 十和田湖畔:湖面に映る紅葉
撮影のポイント
- 早朝や夕方の斜光を活用する
- 三脚を持参してスローシャッターで水の流れを表現
- 偏光フィルターで水面の反射をコントロール
まとめ
奥入瀬渓流の紅葉狩り1泊2日の旅は、青森が誇る自然の美しさと温泉の癒しを同時に楽しめる最高の体験です。清流のせせらぎに耳を傾けながら歩く紅葉の散策路、湖面に映る逆さ紅葉の幻想的な美しさ、そして一日の疲れを癒してくれる名湯たち。これらすべてが、訪れる人の心に忘れられない思い出を刻んでくれることでしょう。
秋の青森は、都会では味わえない本物の自然の美しさに出会える特別な場所です。このモデルコースを参考に、ぜひあなただけの奥入瀬渓流紅葉狩りの旅を計画してみてください。きっと、日本の秋の美しさを心の底から実感できる、素晴らしい旅になるはずです。

