青森県は四季がはっきりと分かれ、それぞれの季節に息をのむような美しい景色が広がる魅力的な土地です。カメラを手に、その一瞬の輝きを捉えに出かけませんか?この記事では、青森県の四季折々の絶景撮影スポットと、その魅力を最大限に引き出すためのヒントをご紹介します。
- この記事の情報は2025年4月13日現在の調査に基づいています。
- 記載されているベストシーズン(見頃)や祭りの時期は例年の目安であり、気候等により毎年変動します。
- 公園や施設の営業時間、立ち入りルール(三脚使用制限など)、交通アクセス、駐車場の有無なども変更される場合があります。
- お出かけ前には、必ず最新の開花・紅葉情報、イベント開催情報、各スポットの公式サイト、自治体、観光協会などの公式情報をご確認ください。
春の絶景スポット(4月下旬~6月頃)
1. 弘前公園(弘前城)の桜
- ベストシーズン(例年): 4月下旬〜5月上旬
- おすすめ撮影時間: 早朝(日の出直後、人が少ない)、夕方のゴールデンアワー、夜間ライトアップ時
- 撮影ポイント:
- 西濠(にしぼり)沿いの桜並木と天守閣の組み合わせ
- 内濠(うちぼり)の水面に映る桜や、散った花びらが水面を覆う「花筏(はないかだ)」
- 夜間ライトアップされた幻想的な桜と城(三脚推奨)
- 構図のアドバイス: 早朝の少し靄(もや)がかかった時間は幻想的。西の丸からの定番構図に加え、逆光で桜の花びらを透かして撮るのも美しいです。混雑を避けるなら平日早朝が狙い目。

2. 奥入瀬(おいらせ)渓流の新緑
- ベストシーズン(例年): 5月上旬〜6月上旬
- おすすめ撮影時間: 午前10時〜午後2時頃(木々が多いため、太陽が高い時間帯が光が差し込みやすい)
- 撮影ポイント:
- 銚子大滝や雲井の滝など、滝と新緑のコントラスト
- 阿修羅の流れなど、激しい水の動きと瑞々しい緑
- 苔むした岩や倒木と、鮮やかな新緑の対比
- 構図のアドバイス: 偏光(PL)フィルターは水面の反射を抑え、新緑の色を鮮やかにするのに効果的。三脚とNDフィルターを使ったスローシャッターで、水の流れを絹のように滑らかに表現するのも定番テクニックです。
3. 白神(しらかみ)山地のブナ林
- ベストシーズン(例年): 5月下旬〜6月(ブナの葉が開ききる頃)
- おすすめ撮影時間: 午前中(木漏れ日が美しい)
- 撮影ポイント:
- 世界遺産センター周辺や暗門の滝方面への散策路(※アクセス・散策路情報は要確認)
- ブナの巨木や森全体を包むような新緑
- 雨上がりや霧が出た日の幻想的な雰囲気
- 構図のアドバイス: 晴れた日の木漏れ日や光芒(光の筋)を狙うと神秘的。霧の日はしっとりとした森の雰囲気を捉えられます。広角レンズで巨木を見上げる構図や、望遠レンズで葉のディテールを切り取るのも良いでしょう。
夏の絶景スポット(6月~8月頃)
1. 十二湖(じゅうにこ)の青池
- ベストシーズン(例年): 6月〜8月(特に晴れた日中に青さが増すと言われる)
- おすすめ撮影時間: 晴れた日の午前10時〜午後2時頃
- 撮影ポイント:
- 吸い込まれるようなコバルトブルーの湖面
- 水中に沈む朽木と青のコントラスト
- 周囲の緑が湖面に映り込む様子
- 構図のアドバイス: 青池の神秘的な色を最大限に引き出すには、晴天で風のない日が理想的。水面が穏やかだと映り込みも綺麗です。偏光(PL)フィルターで水面の反射を調整すると、水中の様子がよりクリアに見えます。

2. 種差(たねさし)海岸の夏景色
- ベストシーズン(例年): 7月〜8月(緑の芝生と海、夏の花々)
- おすすめ撮影時間: 日の出・日の入り時、日中の青空が広がる時間帯
- 撮影ポイント:
- 海岸線の美しい芝生と太平洋の組み合わせ
- 点在する岩礁と打ち寄せる波のダイナミズム
- ニッコウキスゲなど、季節の花々と海の風景
- 構図のアドバイス: 日の出時は、海から昇る太陽と海岸線をドラマチックに捉えられます。波の表現は、スローシャッターで滑らかに、高速シャッターで飛沫を止めるなど、意図に合わせて変えると面白いでしょう。
3. 下北半島・尻屋崎(しりやざき)の灯台と寒立馬(かんだちめ)
- ベストシーズン(例年): 7月〜8月(緑の草原と馬、青い空と海)
- おすすめ撮影時間: 日の出・日の入り前後のゴールデンアワー、日中
- 撮影ポイント:
- 白亜の尻屋崎灯台と広大な太平洋
- 草原で草を食む、あるいは駆ける野生の寒立馬
- 灯台と寒立馬を一緒にフレーミングした風景
- 構図のアドバイス: 寒立馬は野生動物なので、驚かせないように望遠レンズ(200mm以上推奨)が有効です。近づきすぎず、距離を保って撮影しましょう。早朝や夕方の低い光は、風景や馬のシルエットを美しく描き出します。
秋の絶景スポット(9月下旬~11月上旬頃)
1. 奥入瀬渓流・十和田湖の紅葉
- ベストシーズン(例年): 10月中旬〜下旬
- おすすめ撮影時間: 午前中の柔らかい光、曇りの日(色がしっとり写る)
- 撮影ポイント:
- 滝(銚子大滝など)と紅葉の組み合わせ
- 十和田湖畔の紅葉と湖面の映り込み(特に御鼻部山展望台などから)
- 渓流沿いの色づいた木々のトンネル
- 構図のアドバイス: 奥入瀬渓流は日差しが届きにくい場所もあるため、曇りの方が色が飽和しやすく綺麗に写ることがあります。偏光(PL)フィルターは紅葉の色を鮮やかにし、水面の反射を抑えます。三脚を使ったスローシャッターも有効。

2. 八甲田山(はっこうださん)の紅葉
- ベストシーズン(例年): 9月下旬〜10月中旬(標高により異なる)
- おすすめ撮影時間: 午前中(特に早朝)、ロープウェー運行時間内
- 撮影ポイント:
- 八甲田ロープウェーからの360度の紅葉パノラマ
- 睡蓮沼や地獄沼など、湿原と紅葉の組み合わせ
- 酸ヶ湯温泉周辺の紅葉風景
- 構図のアドバイス: ロープウェー山頂からの俯瞰撮影は圧巻。地上では、湿原や沼を前景に、色づいた山々を広く写す構図がおすすめです。運が良ければ早朝に雲海と紅葉の絶景に出会えることも。

3. 弘前城 菊と紅葉まつり
- ベストシーズン(例年): 10月中旬〜11月上旬(祭りの開催期間)
- おすすめ撮影時間: 午後(西日が城や紅葉を照らす時間)、日没後のライトアップ
- 撮影ポイント:
- 弘前城天守と色づいたモミジやカエデ
- 見事に作り込まれた菊人形や菊の展示
- お濠の水面に映る「逆さ紅葉」と城
- 構図のアドバイス: 桜の時期ほどの混雑はないことが多いため、比較的ゆっくり撮影できます。ライトアップ時は三脚があると良いでしょう。水面の映り込みを狙うなら、風のない穏やかな日を選びましょう。
冬の絶景スポット(12月~2月頃)
1. 八甲田山の樹氷(スノーモンスター)
- ベストシーズン(例年): 1月下旬〜2月下旬
- おすすめ撮影時間: 午前中の晴れた日(青空とのコントラストが美しい)
- 撮影ポイント:
- 八甲田ロープウェー山頂駅周辺の巨大な樹氷群
- 青空を背景にしたスノーモンスター
- 樹氷原の広がりを感じるパノラマ風景
- 構図のアドバイス: 青空との対比を意識すると、樹氷の白さが際立ちます。広角で全体の迫力を、望遠で個々の樹氷のディテールや質感を捉えるのも良いでしょう。極寒地なのでカメラ・バッテリーの防寒対策は必須です。

2. 弘前城 雪燈籠(ゆきどうろう)まつり
- ベストシーズン(例年): 2月上旬~中旬(祭りの開催期間)
- おすすめ撮影時間: 日没後のライトアップ時間帯
- 撮影ポイント:
- ライトアップされた大小様々な雪燈籠と弘前城
- ミニかまくらに灯るロウソクの温かい光の列
- 雪で作られた大雪像やすべり台
- 構図のアドバイス: 夜景撮影になるため三脚が必須。ホワイトバランスを調整して、雪の白さや灯りの温かみを表現しましょう。ブルーアワー(日没後すぐの空が青い時間帯)も狙い目です。
3. 蔦沼(つたぬま)の雪景色
- ベストシーズン(例年): 12月〜2月(積雪期)
- おすすめ撮影時間: 雪が降った後の晴れた午前中
- 撮影ポイント:
- 雪に覆われ静まり返った蔦沼と周囲のブナ林
- 湖面が結氷している場合は、その模様や氷の表情
- 木々の枝に雪が積もった(着雪した)風景
- 構図のアドバイス: 雪景色は明るく写るように露出補正をプラスにするのが基本(+0.7~+1.5程度)。静寂感を出すために、人のいない時間帯を狙ったり、モノクロームで表現したりするのも効果的です。冬期はアクセス道路が閉鎖される場合があるため、必ず事前に道路状況と立ち入り可否を確認し、十分な防寒対策と冬用タイヤ、滑り止めをご用意ください。
撮影のための基本装備
- 三脚: 風景撮影、特にスローシャッターや夜景、低照度下では必須。
- フィルター: 偏光(PL)フィルター(反射除去・色彩強調)、NDフィルター(減光・スローシャッター用)。
- レンズ: 広角レンズ(風景全体)、標準ズームレンズ(万能)、望遠レンズ(遠景、動物、切り取り)。
- 予備バッテリー: 特に寒い場所ではバッテリーの消耗が早いので複数個用意。
- 防水・防寒対策: カメラレインカバー、防寒グローブ、レンズヒーター(結露防止)。
- その他: レリーズ、ブロアー、レンズクロス、ヘッドライト、スマホ(天気・時刻確認用)。
季節ごとの撮影上の注意点
- 春: 桜の時期の弘前公園は大変混雑します。三脚使用ルールなど、現地の指示に従いましょう。早朝の霧も撮影チャンスです。
- 夏: 森林内は虫が多いので対策を。海岸撮影は満潮・干潮時刻の確認を。高温多湿によるレンズ結露に注意。
- 秋: 紅葉シーズンの人気スポット(奥入瀬、八甲田など)は大混雑します。早朝行動や平日訪問がおすすめ。風が強いと紅葉がブレやすいです。
- 冬: バッテリーケア(体温で温めるなど)が重要。雪の反射で露出計が狂いやすいので露出補正を意識。寒暖差による結露対策も必要。防寒着、滑り止めは必須です。
地元で見られるかもしれない美しい光景
主要な観光地の他に、季節によっては以下のような美しい光景に出会える可能性もあります。訪れる際は、場所の特定やアクセス、撮影マナーについて十分な事前調査が必要です。
- 春:岩木山麓のカタクリ群生地
- (例年)4月下旬〜5月上旬、岩木山の山麓で可憐なカタクリの花が咲く場所があります。雪解けの岩木山を背景にした風景は美しいでしょう。(※場所の特定、立ち入り可否は要事前調査)
- 夏:小川原湖のハス畑
- (例年)7月中旬〜8月、小川原湖ではハスの花が見頃を迎える場所があります。早朝、水滴を帯びた花は特に美しいと言われます。(※場所の特定、アクセスは要事前調査)
- 秋:黒石市中野もみじ山
- 紅葉の名所として知られる「中野もみじ山」は、(例年)10月下旬〜11月上旬に見頃を迎えます。渓流や滝との組み合わせが美しいスポットです。
- 冬:風間浦村易国間(いこくま)の氷柱
- (例年)1月〜2月、下北半島の風間浦村などの海岸沿いでは、厳しい寒さによって自然の氷柱(しがこおりやつらら)が形成されることがあります。冬の日本海の厳しさと自然の造形美を感じられるかもしれません。(※気象条件に左右され、場所の特定や安全なアクセスは要事前調査)
撮影を楽しむためのヒント
- 同じ場所でも、天候、時間帯、季節が変われば全く違う表情を見せます。気に入った場所には何度か足を運んでみる価値があります。
- 地元の観光案内所やビジターセンターは、その時期ならではの旬な情報(見頃、穴場など)の宝庫です。
- 自然相手の撮影では、天気予報や現地の最新情報を直前にもチェックすることが大切です。
- 美しい景色を求めるあまり、危険な場所に立ち入ったり、私有地に入ったりしないように、安全とマナーを最優先しましょう。
- ファインダー越しだけでなく、ぜひ自分の目と心で、青森の雄大な自然を存分に感じてください。その感動が、きっと写真にも表れるはずです。
まとめ
青森県には、一年を通してカメラを構えたくなるような素晴らしい絶景スポットが溢れています。この記事で紹介した場所以外にも、あなたの感性を刺激する風景がきっと見つかるはずです。 しっかりと情報を収集し、安全に配慮しながら、青森の四季折々の美しさを探しに出かけてみませんか? カメラと共に過ごす時間は、きっと忘れられない旅の思い出となるでしょう。